
「僕らは」何をすべきなのか
その日から、僕の中で意識が変わった。
たしかに、プッティーの言う通り、組織の中で人は「他人の言葉」ばかり使いながら生きている。
今日のミーティングがまさにそうだった。





こうやって振り返ってみると、仕事で使うほとんどの言葉が、他人から借りてきたもののように感じる。
もちろん、それはそれで必要な言葉だろう。
でも、たしかに、「心を動かす言葉」ではない・・・・。
会議は進み、僕の番が回ってきた。


プッティーの言葉が蘇った。
なぜなら、「広報」という言葉すら、他人から借りてきた言葉のように感じたからだ。
小学生なら、「広報」って使うだろうか?
なんて言うだろうか?
とっさにそう考えてしまった。
バカバカしい。
そう思うかもしれない。
でも、これまでの僕のままでは何も変わらない。
僕にはプッティーの言葉を信じるしか道はない。
そう考えると、やってみるしかなかった。
考えた。
「僕らは」だ。
小学生ならきっと「広報」ではなく、「僕ら」という言葉を使う。
「ぼ・・・・僕らの進捗は今、目標に対して・・・・」
そう言うと、言葉がまた止まった。
進捗?
目標?それは本当に僕の言葉だろうか?
違う。


失笑の声が聞こえる。
でも、変わらないといけない。
いつもなら「すみません」と誤っている。
でも、関係ない。
必死に言葉を探した。
きっと小学生なら、「僕らは今、◯◯をしています。」そうやって、やっていること、これからやりたいことを語るだろう。
僕は手元に用意したメモを捨てた。







会場の皆が僕を見ている。

暇そうにしていた企画部のマネージャーが、身体を乗り出してきた。
「それは、参加性と余韻ってこと?」


すかさず企画部マネージャーが遮る。
「いや、面白いよ、大塚くん。続けて。」

「うん!よくわかるよ!」

伝えたいことが溢れる。

会議室が盛り上がっているのがわかる。
さっきまでバカにしていた出席者も、僕に耳を傾けてくれている。
子供を持つメンバーの一人が言った。
「確かに。夏祭りに参加した後、子供がよくわからないオモチャを持って帰ってきて、それを見るたびに「自分の子供の頃」を思い出す。あれか。」
「あー、わかる。」そんな声が聞こえる。
オセロがひとつひっくり返った。

「なるほど!!」
企画部マネージャーが言った。

会議が終わった。
企画部マネージャーに声をかけられた。
「大塚くん、今日のプレゼン、めちゃくちゃ面白かったよ。まさに鹿島修人が君に乗り移ったように見えた。それくらいワクワクしたよ。具体的にどう進めていくのかも決まっているの?」

「そうか、じゃあ、うちの部と一緒に考えないか?」

「もちろんだよ。実は俺ももともと、鹿島修人の才能に惹かれてこの会社に入ったんだ。彼がこのまま会社を辞めるのはもったいないと前から思っていたんだ。」

僕は、心が揺れた。
人生で初めて、自分の言葉で人の心を動かせたのかもしれない。
そう思うと、グッときた。

「もちろんだとも。さっそくまとめて、来週の役員会議に上げよう。」

「そうだよ。今週いっぱいで企画書をまとめ上げて、うちの部で提案したい。いいかな?」

正直、まだ自分の何が良くなったのかは、わからなかった。
でも、もし今日、いつも通り話していたら、こんなことは絶対起きなかった。
そういえば、プッティーはこんなことも言っていた。
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たしかに、それは決して楽なプロセスではない。
でも、今の自分には必要なのかもしれない。
僕の中で、何かが変わりつつあるのを感じた。
次回
【3ー7】武器とストッパー