本要約 鍼灸接骨院

【3ー6】「僕らは」何をすべきなのか

「僕らは」何をすべきなのか

その日から、僕の中で意識が変わった。

たしかに、プッティーの言う通り、組織の中で人は「他人の言葉」ばかり使いながら生きている。

今日のミーティングがまさにそうだった。

金野悠樹
数字のKPI進捗を始めます。では、人事部の予算進捗の確認から行います。
まず、売上は予算に対して90%で、このままだと未達です。ボトルネックになっているのは、組織のナレッジ共有が進んでいないことです。
人事部マネージャー
金野悠樹
どういうことだ?
支店ごとに仕事の進め方がバラバラで、成功事例を横展開できていません。これがあるので、支店によって売上のバラツキが出ています。
人事部マネージャー

こうやって振り返ってみると、仕事で使うほとんどの言葉が、他人から借りてきたもののように感じる。

もちろん、それはそれで必要な言葉だろう。

でも、たしかに、「心を動かす言葉」ではない・・・・。

会議は進み、僕の番が回ってきた。

金野悠樹
広報の進捗を報告してくれ。
はい。広報、広報は・・・・。
てつ

プッティーの言葉が蘇った。

なぜなら、「広報」という言葉すら、他人から借りてきた言葉のように感じたからだ。

小学生なら、「広報」って使うだろうか?

なんて言うだろうか?

とっさにそう考えてしまった。

バカバカしい。

そう思うかもしれない。

でも、これまでの僕のままでは何も変わらない。

僕にはプッティーの言葉を信じるしか道はない。

そう考えると、やってみるしかなかった。

考えた。

「僕らは」だ。

小学生ならきっと「広報」ではなく、「僕ら」という言葉を使う。

「ぼ・・・・僕らの進捗は今、目標に対して・・・・」

そう言うと、言葉がまた止まった。

進捗?

目標?それは本当に僕の言葉だろうか?

違う。

金野悠樹
おい!大塚!おまえ体調でも悪いのか?だったらさっさと帰れよ。

失笑の声が聞こえる。

でも、変わらないといけない。

いつもなら「すみません」と誤っている。

でも、関係ない。

必死に言葉を探した。

きっと小学生なら、「僕らは今、◯◯をしています。」そうやって、やっていること、これからやりたいことを語るだろう。

僕は手元に用意したメモを捨てた。

アートミュージアムは、僕らのお祭りです。
てつ
金野悠樹
ん?
金野悠樹
お祭り?何の話だ?
お祭りは楽しい。ワクワクするし、ドキドキする。それはどうしてかというと、人が好きなものがたくさん集まっているからです。
てつ
金野悠樹
は?おまえ・・・・。
お祭りはなぜ楽しいか?そこに人がいて、楽しい出店や、踊りがあって、音楽があるから。人が大好きなものが集まって、参加したい人は「楽しかった〜」「来年もまた来よう」となります。この、参加して楽しい、ワクワクするという点では、アートミュージアムも同じだと思うんです。でも、なぜか、アートミュージアムは「一度きり」で終わり、お祭りは「毎年」訪れられるものです。なぜでしょうか?
てつ

会場の皆が僕を見ている。

それは「自分が参加できること」と「お祭りの終わった後」にあると気づきました。
てつ

暇そうにしていた企画部のマネージャーが、身体を乗り出してきた。

「それは、参加性と余韻ってこと?」

そうです。お祭りは参加できます。着物を着たり、踊ったり、一部になれます。あるいは、お祭りの準備も皆でします。でも、アートミュージアムは、見るだけで終わりです。
てつ
金野悠樹
大塚!いい加減にしろ!どうでもいい話をするな!

すかさず企画部マネージャーが遮る。

「いや、面白いよ、大塚くん。続けて。」

ありがとうございます。もうひとつは、余韻です。僕が小さい頃、お祭りが終わり、静まりかえり、寂しくなった会場を見ると、「ああ、この季節は終わった」「また来年だな」と、よく思いました。
てつ

「うん!よくわかるよ!」

そして、家に帰ってもその気持ちは続きます。なぜなら、屋台で買った、よくわからない光るオモチャや金魚、そういう「お土産」があるからです。これは、旅行もそうです。
てつ

伝えたいことが溢れる。

お土産は、旅の賞味期限を延ばしてくれます。家に持ち帰ったお土産を見たり、食べることで、「あの時のあの場所」を思い出せる。あるいは、誰かに渡すことで「旅行の話をするきっかけ」や「話す口実」になります。これはつまり、お土産がお祭りの賞味期限を延ばしているんです。
てつ

会議室が盛り上がっているのがわかる。

さっきまでバカにしていた出席者も、僕に耳を傾けてくれている。

子供を持つメンバーの一人が言った。

「確かに。夏祭りに参加した後、子供がよくわからないオモチャを持って帰ってきて、それを見るたびに「自分の子供の頃」を思い出す。あれか。」

「あー、わかる。」そんな声が聞こえる。

オセロがひとつひっくり返った。

だから僕は、アートミュージアム再生の鍵は、皆が参加できるようなものをつくること、そして、賞味期限を延ばしてくれるお土産、この2つではないかと思っています。
てつ

「なるほど!!」

企画部マネージャーが言った。

会議が終わった。

企画部マネージャーに声をかけられた。

「大塚くん、今日のプレゼン、めちゃくちゃ面白かったよ。まさに鹿島修人が君に乗り移ったように見えた。それくらいワクワクしたよ。具体的にどう進めていくのかも決まっているの?」

いえ・・・・実はまだなんです。すみません。
てつ

「そうか、じゃあ、うちの部と一緒に考えないか?」

え?いいんですか?僕で?
てつ

「もちろんだよ。実は俺ももともと、鹿島修人の才能に惹かれてこの会社に入ったんだ。彼がこのまま会社を辞めるのはもったいないと前から思っていたんだ。」

そうなんですか!?
てつ

僕は、心が揺れた。

人生で初めて、自分の言葉で人の心を動かせたのかもしれない。

そう思うと、グッときた。

あ、ありがとうございます・・・・。ぜひ力を貸してください。
てつ

「もちろんだとも。さっそくまとめて、来週の役員会議に上げよう。」

え?役員会議?
てつ

「そうだよ。今週いっぱいで企画書をまとめ上げて、うちの部で提案したい。いいかな?」

ぜひ!!
てつ

正直、まだ自分の何が良くなったのかは、わからなかった。

でも、もし今日、いつも通り話していたら、こんなことは絶対起きなかった。

そういえば、プッティーはこんなことも言っていた。

* * * * * * * * * * *

プッティー
なんで人が、他人の言葉を使うかわかるか?
なぜ・・・・わかりません。
てつ
プッティー
それはな、楽やからや。圧倒的に。他人の言葉は、便利や。自分が主語やないから、意思もいらん。究極的に、他人のせいにもできる。それはそれで、別に悪いことちゃう。人が生きていくために生み出した技術やからな。でもな、自分がホンマに人を動かしたいと思ったら、そんな言葉じゃあかん。自らの言葉を使うんや。
他人の言葉では人は動かせない・・・・。
てつ
プッティー
せや。人の心を動かすのは「自分の言葉」だけや。ほんで自分の言葉を見つけることは、決して楽なこととちゃう。でもな、今のおまえには必要なことや。

* * * * * * * * * * *

たしかに、それは決して楽なプロセスではない。

でも、今の自分には必要なのかもしれない。

僕の中で、何かが変わりつつあるのを感じた。

次回

【3ー7】武器とストッパー

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