
これは、難しい話です・・・。
「息苦しさ」とは、実は自覚症状で、病気の進行と必ずしも一致しているわけではないのです。
たとえば、「酸素飽和度が低いから」「呼吸機能検査の数値が低いから」といって、必ずしも息苦しいとの訴えがあるわけではありません。
心臓や肺は、外に向かって膨らむことを妨げられると、つまり、「拡張制限があると息苦しさを感じるのではないか?」と考えられています。
例をとれば、きついシャツを無理やり着ると息苦しさを感じるでしょう。
このように、胸郭の動き、特に吸気で胸郭が外に向かって動く動作が制限されると息苦しさを自覚するのです。
胸郭の拡張制限での息苦しさのほかに、前胸部の骨関節病変・・・
具体的には胸骨肋骨関節炎や鎖骨胸骨関節炎を起こすサフォー症候群の患者さんは、胸郭の動きが制限され、息苦しさを頻繁に訴えます。
気管支が広がりにくい病態、具体的には喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)でも、かなりの頻度で息苦しさの訴えがあります。
他にも空気の酸素を取り込む肺胞が膨らみにくい病態、間質性肺炎や肺水腫などでも息苦しさを訴えます。
気胸という、肺の周りに空気があっても肺が潰れた状態では、肺が膨らみにくいため息苦しさを感じます。
また、心臓の拡張機能不全、つまり全身の血液が心臓に戻る機能が弱くなるような心不全でも息切れを感じやすくなります。
ただし、高齢者は、酸素分圧低下や二酸化炭素上昇に対する換気応答が低下しているため、どちらかというと息苦しさを訴えない傾向にあります。
その際には、誤嚥性肺炎の項目でも挙げたように、酸素飽和度の低下・呼吸数増加・頻脈の有無をいち早く確認することです。
たとえ本人の自覚症状がないにしろ、身体が訴えている沈黙の警告サインを、家族はもちろん、周囲の人たちが見逃さないようにするのがとても大切です。
