
ベッドで何時間横になっていても、ぐっすり眠れなければ意味がありません。
睡眠が不足している人は、睡眠時のパフォーマンスを運動や仕事のそれと同様に扱っていません。
「いつ、どこで、どう眠るか」を改善しましょう。
そうしなければ、いつか将来、仕事があるのに入院しなくてはならない身体になってしまいます。
あなたは夜中に「覚醒」しているかもしれない

フィリップ・ウェストブルック博士は、睡眠研究の第一人者であり、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の臨床医学教授です。
博士が最初に睡眠の科学に興味を持ったのは、睡眠中に繰り返し呼吸が止まる人々についての報告書を読んだときでした。
呼吸器科医でもある博士は、なぜどのようにそれが起こるのかを理解したかったのです。
当時の旧式な実験で、睡眠中に呼吸が止まる1人の患者を見つけた博士は、初歩的な睡眠研究を行いました。
メイヨー・クリニックの自分のオフィスの外に置いた車輪付き担架に、ありとあらゆるモニターに繋いだ患者を横たわらせ、寝入るのを待ちました。
案の定、患者は入眠するやいなや呼吸が止まりました。
これが睡眠時無呼吸の症例の第1号でした。
当時では、極めて珍しい症状でした。
夜間ずっと呼吸の停止と再開を繰り返す睡眠障害でした。
このシンプルな研究が、ウェストブルック博士のキャリアを変えてしまいました。
「炭水化物ゼロ」では睡眠に支障が出る

睡眠中の気道を調べたところ、次のことがわかりました。
脳は眠っているとき、上気道の開閉を制御する筋肉にシグナルを送らないので、上気道は開いたままとなって、呼吸することができます。
その筋肉はすべての筋肉と同様に睡眠中は弛緩していて、一定の条件下で気道が潰れるか、潰れかけて呼吸を妨げることがあります。
呼吸をしなければ人は死ぬので、呼吸が止まるたびにほんの一瞬、身体はおのずと目覚めます。
軽い睡眠障害でも、毎晩、本人も記憶していない覚醒が何度も起こり得ます。
このことが睡眠の継続と質を妨げ、しばしば日中のパフォーマンスを低下させます。
それは高血圧・心疾患・2型糖尿病・意思決定スキルを含む認知能力の減退などに繋がる、重度のリスク要因でもあります。
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自分では記憶していなくても、睡眠中の覚醒は現実に起こっていることです。
著者が以前、炭水化物をほぼゼロにして脂質を主要栄養源とするケトーシスダイエットをしていたとき、睡眠モニター装置は、著者が一晩に少なくとも十数回、認識も記憶もないままで覚醒していることを示しました。
睡眠をモニターしたおかげで、際限のないケトーシスとは対照的に、周期的なケトーシスにはプラスの効果があると気づくことができました。
著者は週に2回、食事に炭水化物を加えることで睡眠を改善し、最終的には人に推奨できる食事パターンを開発することができました。
ショックだったのは、無呼吸でなかったとはいえ、睡眠中に何度も目覚めていたのを知らなかったことでした。
それは、知らないうちに睡眠時無呼吸になりやすいことを示してもいます。
ウェストブルック博士の推計を当てはめれば、全体の10%が、程度の差はあれ、健康と日常のパフォーマンスに影響を及ぼす睡眠時無呼吸症状を抱えていることになります。
次回予告

HACK18▶︎「睡眠の質」を上げるハックを実行する
ー2:「横向き」で寝れば睡眠の質が上がる