本要約 鍼灸接骨院

【1ー6】大企業でイノベーションが起きない理由

大企業でイノベーションが起きない理由

「ど、どういうことですか?」

「大企業でイノベーションが起きひん理由ってのは、3つの『軸』を1つのKPIで測るからなんや。」

?????

僕の中でまた疑問が浮かんだ。

「昔ある男が、大企業の経営企画局員として『社内のイノベーションコンテスト』に関わっていたことがあった。彼はそんとき、強烈な違和感を覚えた。違和感の正体が、のちに起業するようになり、わかるようになった。それは、革新的な事業いうんは、既存のKPIでは『絶対に測れないもの』ちゅうことなんや。」

項目創造性再現性共感性
ビジネスにおけるバリューチェーン創造し拡大させ金にする
担当するメインプレーヤー天才秀才凡人
価値を測るための指標適切なKPIがない事業KPI(CVR・LTV・訪問数・生産性などプロセスKPI)財務/会計KPI(PL・BSの載ることができるKPI)

「既存のKPIでは測れない?」

「せや。例えるならそれはアートのようなもんや。すべての偉大なビジネスは『作って➡︎拡大させ➡︎金にする』というプロセスに乗るんやけど、それぞれに適したKPIは異なる。そのうち、『拡大』と『金にする』のフェーズのKPIは、わかりやすい。」

パンダは続けた。

「拡大は『事業KPI』で見れるし、金を生むフェーズは『財務上のKPI』で測ることができる。経営学の発展によって、プロセスが十分に科学されてきた功績やで。せやけどな、問題は『創造性』や。言い換えたら『天才かどうか』を、測る指標がないことや。」

「天才かどうかを、測る指標がない?」

「せや。ほんまに創造的なもんは、まだ見たことないようなもんや。それは、はっきり言うて“定義なんてできひん”もんや。いや、正確に言うと、”直接”は定義できひんもんや。」

僕は、ついていくので必死だった。

どういうことだろうか?

「たしかに創造性は、直接観測でけへん。せやけど、社会からの『反発の量』で間接的に測ることはできる。」

「反発の量?」

「せや。具体的に言うたら、『共感性の世界に生きる人からの初期の反発』なんや。言い換えたら、おまえみたいなやつが『殺そうとすればするほど』、それは創造性の裏返し、っちゅうこっちゃ。」

「創造性は、間接的に観測できる・・・」

「せやで。AirbnbやUberにせよ、リリースされたとき、社会から『強烈な反発』を受けた。あるいは、優れた芸術には、ある種の『恐さ』が必要と言われる。それと同じや。」

「恐さが必要?」

「せや。本来、企業は破壊的なイノベーションを起こすには『反発の量』をKPIに置くべきやけど、これは普通でけへん。なぜなら、大企業は『多くの凡人によって支えられているビジネス』やから。反発の量をKPIに置き、イノベーションを加速させることは、自分の会社を潰すリスクになる。これが、破壊的イノベーションの理論を人間力学から解説した構造やな。」

「僕らが反発するから、イノベーションが起きない?」

「皮肉やな。天才経営者を殺すのは、君みたいな凡人なんや。」

「そ、そんな・・・。少なくとも僕はそんなことないです。」

「いや、あるんやわ。」

「し、失礼ですよ!ないです、いや、絶対に!!」

「わははは」

「何笑ってるんですか!ふざけないでください!」

「ええやん。まさにその自分の反応こそが、この理論が『創造的』である証拠なんや。」

「からかわないでください。真剣なんですよ!」

「この話、凡人が天才を殺す理由という話は、はっきり言うて初めて聞いた時には、にわかには信じられへん。そらそうや。だって『聞いたことない話』やからな。それに、なんでかわかるか? 凡人は、天才が大好きでもあるからや。」

「ぼ、凡人は天才が大好き?」

「せや。」

「さっきは凡人が天才を殺す、とか言ってたいました。グチャグチャですよ。何言ってるんですか?」

僕は次第にムカついてきた。

「ええか。凡人はオセロや。オセロゲーム。凡人ってのは、成果を出す前の天才にはホンマに冷酷や。恐ろしく冷たい。けど、成果を出した途端、手のひらを返す。すごい!すごい!天才!って言い出す。やけどな、この反応こそが天才を2度殺すんやで。」

「2度殺す・・・・・?」

「ええか、時代は変わる。時代が変わるとは、ルールが変わるということや。ほんで、天才も、ゲームのルールが変われば、失敗する。間違える。ほんなら途端に凡人は意見を変える。あいつは終わった、ってな。さっきまで手放しで褒めとった凡人が、急に態度を変える様子を見て、天才はさらに孤独を深める。」

「孤独を深める・・・・・?」

「天才は思う。ああ、やっぱり自分は世界に理解されないんだな、と。このとき天才の頭によぎるのは『自殺』や。文学の天才、芸能の天才、ビジネスの天才でも、成功した後に死を選ぶ天才がおるやろ。」

「じ、自殺・・・・・?」

「天才は2度殺される。1度は成果を出す前に。もう1度は成果を出した後に。」

信じたくない、そう思った。

でも、わかるような気もした。

何者でもない時代から、僕は鹿島修人を見てきた。

彼は成功した。

すると、世の中は彼を「天才」と称した。

だが時代は変わり、彼は今、成果を出せなくなった。

するとどうだろう?

この前まで「社長!社長!」と言っていた多くの従業員が、手のひらを返し始めた。

それを見て、僕は怒りを感じていた。

「天才が自殺・・・。想像するだけで胸が痛くなります。」

僕はさっきまでの怒りが急激に萎んでいくのを感じた。

「おい、さっきまでの勢いはどないしたんや、あんちゃん。」

「・・・僕みたいな凡人こそ天才を殺す、そう言われたときはピンときませんでした。ムカつきました。でも、たしかに言われてみれば、手のひらを返す、そうやって天才を苦しめてきたのは僕たちなのかもしれません。」

「わははは、せやろな。まさにこれが『共感性』を軸に生きる人の弱さでもあり、魅力でもある。つまり、Good or Badの評価は変わりやすい。まさに今、『オセロの石がひっくり返る瞬間』を体感してるわけや。」

「・・・なるほど・・・」

「話を戻そ。とにかく『創造性』は、直接観測することができひん。そもそも、創造的なもんとは、既存の枠組みに当てはまらへんから、フレームが存在せえへん。」

僕は唾を飲み込んだ。

「でも、でも・・・そうしたら天才を救う方法はない。こうならないですか?悲しすぎます、そんなの。だって天才が殺される。それを、指をくわえて見ているしかないのでしょうか?」

「いや、ある。」

「だったら教えてください!!」

「これが、まさに『天才・秀才・凡人の才能論』やで。」

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このパンダ、只者じゃないかもしれない。

僕は不思議な感情を覚えていた。

発言は鼻につくかもしれない。

でも鋭い考察は聞いたことがない話ばかりだ。

パンダは続けた。

「ええか。『天才・秀才・凡人の才能論』は簡単にマスターできるもんとちゃう。ステージが3つある。今日はステージ1の初歩。これだけ覚えとき。」

創造性は「間接的」には観測すことができる。それが凡人の「反発の量」である。

「だからこそ、”一見すると反対したくなるもの”ほど、創造的なもんが眠ってるかもしれへん。」

「だとしたら・・・どうすればいいんですか?どう天才を守ればいいんですか?」

僕は答えを早く知りたかった。

「まあ、焦らんとき。答えはいずれわかる。そんなことより、飯あるか?腹減ったわ。」

そう言うと、パンダは笹をおねだりしてきた。

しぶしぶ買い出しに行くと決めた僕は、聞いた。

「ところで・・・あなたの、お名前はなんて言うんですか?」

「ワシか? ワシの名前はプッティーや。」

プッティー・・・・・。

この謎のしゃべるパンダ。

いったい彼は何をもたらすのか。

僕には全くわからなかった。

でも、もしこのパンダの言うことが真実なら、それは、今のプロジェクトが失敗したら、鹿島修人には暗い未来が待っているってことじゃないか?

それだけは絶対に、絶対に、阻止しなければならない。

次回

【1−7】紛糾する経営会議

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