
呼吸はシンプルな行為ですが、LSDの利用を先頭に立って推し進めていた心理学者でさえ、自らが開発した幻覚剤を使った治療を呼吸法にによる治療に変えてしまったほど強力な効果があります。
深く静かに息をすることは難しくもなんともありませんが、本当に効果のあるやり方を学べば、脳の奥深くに分け入る経験をすることができます。
幻覚剤研究の第一人者が発見した「呼吸」のパワー

スタニスラフ・グロフ博士は幻覚剤研究の第一人者で、医師の資格と博士号を持ち、1960〜70年代に奥様との共同研究によってトランスパーソナル心理学という新分野を創造しました。
人間の経験のスピリチュアルな側面と超越的な側面に注目して、両者を結び合わせて現代的な精神療法と心理学の枠組みを構築しました。
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グロフ博士は、LSDを使った精神療法の本を書いています。
1960年代に、モスクワとジョンズ・ホプキンス大学で臨床研究を開始し、標準的な患者のための幻覚剤を使った治療方法を追究しました。
グロフ博士はのちに、カリフォルニア州ビッグ・サーのエサレン研究所で研究しました。
20冊以上の本と数百編の論文を著し、90歳近い年齢にもかかわらず、いまだに教鞭を執っています。
世界中で講演し、ワークショップを主宰する、この流派の治療の巨匠です。
ドラッグから呼吸法へ

そんなグロフ博士ですが、もともとは伝統的な心理学者でした。
キャリアの初期に伝統的な精神分析の限界を見抜いて落胆しました。
当時の精神医学界では、まだ電気ショック療法・インスリンショック療法・インスリン昏睡療法・前部前頭葉ロボトミー手術といった野蛮な治療法が用いられていました。
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グロフ博士がプラハで精神治療院を開業していたとき、スイスのサンド製薬会社から、謎めいた「LSDー25」というラベルの貼られたアンプルが詰まった箱が送られてきました。
同梱された手紙には、新しい治療物資だと書かれていました。
精神科医や心理学者にとって、興味深い試験的研究になると思われました。
まったく新しい可能性に興奮したグロフ博士は、LSDを自ら試すことを引き受け、自身を完全に変容させる経験をしました。
6時間後には、博士の人生はすっかり違う方向へと向きを変えていたのです。
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LSDによる治療の研究に没頭したグロフ博士は、1967年に奨学金を得て渡米しました。
ところが、LSDは間もなくアメリカで違法とされてしまい、博士は打ちのめされました。
これで精神医学は治療に大きな可能性のある貴重なツールを失ったのです。
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そして博士はLSDで得られたのと同じ利益を患者に経験させられる代替物を探し始めました。
驚いたことに、博士はそれを「呼吸」に見いだしたのです。
呼吸を速めて「新たな意識状態」に入る

古代の文明と知恵の伝統では、何千年もの昔から、呼吸はただ生きるためのものではなく、大きな変化を引き起こすために操れる力でもあると認識されてきました。
人間は呼吸を速めると幻覚剤を摂取するのと似た状態になることを、グロフ博士は発見しました。
「精神疾患」で救急室に運ばれてくる患者が、実はただの過呼吸だったという経験がどんな医師にもあるほど、呼吸は強力なものなのです。
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もちろん、過呼吸の患者がいたら、たいていの医師は呼吸を遅くさせます。
でも、グロフ博士は違います。
「ホロトロピック呼吸法」というテクニックを開発したのです。
全体性に開かれた精神状態に入ることができる奥義のような呼吸法です。
やり方はシンプルで、平穏な場所で情緒に訴える音楽を流しながら呼吸を速める、というものです。
目を閉じてマットに横たわり、自分の呼吸と部屋に流れている音楽の効果によって、通常とは異なる意識状態に入っていきます。
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この変容した意識状態は、人間の中にある自然な癒しのプロセスを活性化して、なんらかの内的経験をもたらします。
それは内なる知恵による癒しのプロセスなので、もたらされる経験の質も内容も人それぞれであり、そのときその場所に固有のものになります。
すべての癒しのプロセスに共通するものはありますが、どのセッションをとっても同じものはありません。
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ホロトロピック呼吸法は、超越的もしくはスピリチュアルな体験になります。
この体験によって、自分をアップグレードするには、スマートドラッグに重点を置いた研究から、スピリチュアル・感情・認知・身体のすべてに意識を向けた研究に移行しなければならないということがわかります。
LSDより脳がぶっ飛ぶ

自分を「尻込み」させているものは何か?

生まれてすぐに赤ちゃんを母親と引き離すことは、赤ちゃんにとても悪い影響を及ぼしますが、それがアメリカでの慣行でした。
特に帝王切開による出産の場合はそうです。
なので、帝王切開で出産したお母さんは罪悪感を感じることも多かったそうです。
「知は力なり」です。
出生時のトラウマが後の人生でもストレスであり続けると知った今、そんなストレス反応をリセットする治療法は選り取り見取りです。
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ホロトロピック呼吸法は、恐怖で「尻込み」させてきた隠れたトラウマを見つけるのを助けてくれます。
この呼吸法を続けた患者は、自分には真の友人がいる、人生には愛がある、良き親として必要なものを備えている、失敗から逃げるのをやめ、日々情熱を燃やせる大きなミッションを受け入れることができるようになります。
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この呼吸法を行う前に、そんな効果があると言われていたら、だいたいの人が一笑に付します。
しかし、どんなに成功していても、お金があっても、社会的評価を受けていても、問題のない人生を送っているとは言い切れません。
どんなに成功していても、無意識のうちに自分を尻込みさせているものがあるという考えを受け入れるのはとても大事なことです。
「隠れた行動パターン」を見つける様々な方法

出生時トラウマであれ、他のどんなトラウマであれ、あるいは悩ましい行動パターンであれ、それが存在しているとわかれば対処できます。
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隠れた行動パターン(ほとんどは過去のトラウマによるもの)を識別する安全な手法を見つけることは、ゲームチェンジャーになるための有力な方法です。
何が自分を抑えているのかがわかれば、殻を破りやすくなります。
インパクトのある成功を収め、幸せになれます。
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ホロトロピック呼吸法は、ハイパフォーマーになるための呼吸法のひとつにすぎません。
ヨガの実践者は「プラーナヤーマ」という呼吸法を数千年前から修行している「アート・オブ・リビング」が教えている呼吸法の基礎で、上級者になると、特殊な呼吸法で自分の酸素濃度を修正することができるそうです。
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どんな方法であれ、呼吸をマスターすれば、自分を知ることができるのです。
次回予告

HACK08▶︎あえて「無防備」になって恐れを手放す